【相反する要素の融合】
ベーネではジュエリーデザインをするとき、大切にしているテーマがあります。
それは、<相反する要素を融合させる>ということ。
相反する要素が1つのデザインの中で融合することで、まったく新しい美が生まれます。
西洋と東洋の感性が融合した建築物である東京に点在する旧邸は、まさにその様子を見せてくれます。
そんな旧邸をお散歩してみませんか?
なんだか鹿鳴館時代にタイムスリップしたような、なんとも優雅な気分になちゃいます♪
目次
ここが見どころ!なんて優雅な気分なの~。旧邸散歩で鹿鳴館時代にタイムスリップ。旧岩崎邸へGO!
旧岩崎邸ってどんな建物?
三菱グループの創始者である岩崎久弥氏の私邸として建てられた旧岩崎邸は、日本に洋風建築の暁光をもたらし、
鹿鳴館やニコライ堂も手がけたジョサイア・コンドルによって設計された日本初の本格洋館です。
内外装とも全体のスタイルや装飾は英国17世紀のジャコビアン様式を基調としつつ、南面のベランダにはコンドルが得意としたコロニアル様式が表れています。
客室の天井装飾、床のタイル、暖炉などの細部にはイスラム風のデザイン。
岩崎久弥の留学先であったペンシルベニアのカントリー.ハウスのイメージも取り込まれ、様々な様式が織り交ざり融合しています。
ジョサイア・コンドル自身、多くの戯画や風刺画を残した河鍋暁斎につき日本画を学び、日本文化をほどよく融合させた日本で最初の設計事務所を開設、日本人女性である前波くめを妻としました。
旧岩崎邸ここが見どころ:細工
コンドルが設計を手掛けた鹿鳴館(1883)をも彷彿とさせる一階メインホールの華麗な調度の数々。
ジャコビアン様式の意匠が施された階段や四本柱には、アカンサスや唐草文様が彫られています。
洋館1階婦人客室の天井はシルクのペルシャ刺繍、コーナーにはイスラム風のアーチ。
重厚感満ち溢れる柱、階段、天井に施された豊かな曲線の細工。
ここにも相反する要素の融合を目にします。
照明器具のなんとも細やかなディテール。
アイアンワークのデザインもそれぞれ違い、レトロモダンの美しさに魅了されます。
洋館ホールに設置されたガス式のヒーターには、なんと!アール.ヌーヴォ調の装飾が施されています。
建築家ジョサイア・コンドルの深い美意識が隅々まで!
建築家でありながら、インテリアコーディネーターであったように思います。
旧岩崎邸ここが見どころ:ステンドグラス
旧岩崎邸のステンドグラスは、いずれも日本のステンドグラスの初期の作品です。
大震災や戦時下の空襲の惨禍もくぐり抜け、1世紀の年月を経過しても輝きに満ち溢れています。
日本のステンドグラス制作の先駆者となる宇野澤辰雄がドイツで制作技術を体得して帰国したのが、明治23(1890)年。
コンドルが岩崎邸の設計図を描いていた明治29(1896)年は、日本でステンドグラスを造る職人といえば、宇野澤辰雄(1867-1911年)しか存在しません。
色の使われていないクリアなガラスのステンドグラスには、庭の木々が映り込み、そのシルエットが揺れ動き、なんとも優雅。
イタリア、フランスなど、海外の教会で見るステンドグラスは、聖書の物語になっているものが多く、彩り豊かですが、旧岩崎邸のステンドグラスは、日本の古典柄を思わせるような潔いシンプルなラインで描かれています。
重厚な内装と繊細なラインで描かれたシンプルなステンドグラスのコントラストに、やはり相反する要素の融合を見つけました。
次回は、旧岩崎邸の内装に施されたディテールをモチーフにしたジュエリーをご紹介します。
(ベーネ銀座サロンオーナ- 内藤千恵)
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