BeneBene's Contens

銀座サロン発ジュエリー工房ベーネベーネの楽しいジュエリーライフ

この人に聞く!




<心地よい音、それ以外は出したくない>ヴァイオリニスト本橋はる子さんに聞く

2013年に10年間のイギリス滞在から帰国し、現在は日本で活躍中のヴァイオリニスト、本橋はる子さんにお話しを伺いました。
はる子さんは現在、Kバレエカンパニー専属のオーケストラに所属しているほか、デュオやソロでの演奏活動を全国的にされています。
偶然にも私と苗字が同じということで、ベーネのお客様からは親戚かと思ってたと良く言われているはる子さん。
はる子さんの奏でる美しい音の背景に迫ります。

黒字:本橋はる子さん
青字:ベーネデザイナー 本橋たかね

________はる子さん、今日はよろしくお願いします。

こちらこそ、よろしくお願いします。

________熊本の震災の時にベーネの銀座サロンでチャリティー演奏をしていただき、とても嬉しかったんです。心に響く演奏に自然と涙が湧いてきて、なにか心が浄化されるような気がしました。
その時はどうもありがとうございました。

千恵さんがやりたいけどどうしよう、って悩んでらしたから、もしチャリティーをするなら私は演奏でご協力できますよって。
*千恵さん=ベーネ銀座サロンオーナー 内藤千恵

________はる子さんからのお話しがあって、絶対やろう!っていう気持ちが固まったんです。

◼️ヴァイオリンを弾くことはあまりにも身近なこと。

________はる子さんは何歳からヴァイオリンを始められたのですか?

私がヴァイオリンを始めたのは2歳半の時からです。

________そんなに小さい時からというと、ご両親も何か音楽をしていらっしゃるんですか?
音楽家の方だとよく、ご両親も音楽家でという話を聞きますが。

いえ、私の両親は音楽とは全く関わりがないんです。

________そうなんですね。2歳半からだときっと、気が付いたらヴァイオリンを弾いていたという感じなのでしょうね。

ヴァイオリンを始めたときの記憶はないですね。

________それでは、情操教育に良いから、ご両親ははる子さんに音楽を学んで欲しいと思われたのでしょうか?

聞いた話によると、父の大学時代の同級生が近くに住んでいて、そこの息子さん2人によく遊んでもらっていたんです。たしか私より10歳近く上かな。そのお兄ちゃん達がヴァイオリンを習っていて。
お兄ちゃん達がレッスンをしているのを見て興味を持ったのか、家に帰ってからもヴァイオリンの弾き真似みたいなのをしていたから、習わせてみようかってなったみたいです。
ピアノは場所を取るし、父があまり好きじゃなかったけど、ヴァイオリンなら良いかなって。
それくらいの軽い気持ちで。

________ご両親はきっと、はる子さんの才能を何か見抜かれていたのでしょうね。
物心付いたときにはすでに始められていたというヴァイオリンですけど、いつ頃からヴァイオリニストになろうって決意されたのでしょう?

自分からはっきりと舞台に立ち続けたいと意識したのは、正直なところ、ごく最近ですね。
イギリスに行っていた10年間のうち最後の1年は理学修士という演奏とは少し離れた分野を学んでいて、勉強三昧だったんですけど、その時に自分のいる場所はステージ、弾いているほうが自分には合っているって改めて思って。
それまでは、他に選択肢がなかったというか。

________はる子さんにとってヴァイオリンがあまりにも身近だったということでしょうか?

そうですね。当たり前すぎて意識をしていなかったんです。

________ヴァイオリニストになるのは相当大変なイメージがあるので、小さい頃から「私はヴァイオリニストになるの!」って決めてたのかなって、勝手に思っていました。
意外と違うものなのですね。

はい、全く。(笑)

演奏会の時のヘアスタイルがいつも素敵なはる子さん。 ご自分でされているそう。

 

◼️音楽家も身体の事を知って、スポーツ選手みたいな知識を身につけたほうがいい。

________1年間違う勉強をされていたということですけど、ヴァイオリンとは全く違う分野に進んでみようかなっていう考えもあったのですか?

いえ、ビザの問題があって。あと1年間イギリスに滞在する事が一番の目的だったんです。
その時に、修士はすでに1つ持っていたから博士課程で学ぼうかどうしようかと考えて。
博士課程で学ぶためにはプロジェクトを考えて面接に挑むんです。自分が本当にやりたいプロジェクトじゃないと自分の首を絞めてしまう。とはいえ博士課程となると3〜5年はかかるから、そこまでの覚悟はないし。
どうしようかと迷っていたら、面接をしてくださった教授から修士過程のコースを進められたんです。
「君のプロジェクトと似たようなコースが今回から新しく出来るから、博士課程ではなく修士過程だけれども来てみないか。」って言っていただいて。じゃあ行ってみようかなと。

________今回からちょうどコースが新しく出来たなんて、まさに巡り合わせですね。
勉強三昧だったそうですが、その1年間も、ヴァイオリンは弾かれていたんでしょうか?

ヴァイオリンを弾くのはずっとしていました。
一応音大なので。

________音大ということは、学んでいたのは音楽の中で違う分野ということですか?

そうですね。音楽家を医学的、脳科学的にみようという。実際に音楽家はアスリート的なものも要求されるんですけれど、演奏者がそれを意識していることはあまりないんです。演奏者はもっと自分の身体の事を知って、スポーツ選手みたいに知識を身につけたほうがいい。身体がどう使われて、怪我をした時はどう直してっていう。
その知識を得たことで、私自身も助かっています。

________すごくエネルギー使いそうですもんね、演奏するって。
アスリート的なことが要求されるということ、実際に演奏されている姿をみると良くわかります。
たしかに怪我などしてしまったら、きちんとケアしないと今後の演奏に響いてしまう可能性もありますね。

特にヴァイオリンは不自然な姿勢をするので。私も整体の先生にお世話になってますけど、そういう全体的なサポートが音楽家にはない。自分達自身もほとんど考えていない。

________音楽にはそういう分野もあるんですね。とっても興味深いです!
先ほどの続きになるのですが、ステージに立たない一年があったから、ステージに立ちたい、演奏することが自分には合っているって強く思ったということでしょうか?

その間もステージには立っていたんです。音大が主催する美術館でのコンサートとか、学ぶコースが違っても、そういったものには申し込みができるので。
時間的に厳しい中でも、自分が演奏することを必要としていたから、コンサートに申し込んで、ヴァイオリンを弾いて、論文を書いてと。そうやっているうちに、調べる作業も好きなんですけど、これを1年2年続けるのは無理だなと。(笑)
やっぱりヴァイオリンが良いなって。

________そうだったんですね。
はる子さんの演奏を聴くことができるので、ヴァイオリンに戻って下さって良かったです。

◼️心地よい音、それ以外は出したくない

________はる子さんのヴァイオリンを聴いたときに、すごく音が澄んでいてきれいだなって思いました。はる子さんは淡々としてそうなのに、音からはすごく力強さを感じたんです。内に秘めた強さみたいな。

私は良く声が小さいって言われるんです。見た目の印象もあって、初対面の方は私が大きい音を出すとは思わないみたいで。
両親が言うには、ヴァイオリンの音の方が本物の性格だろうねって。(笑)

________なにか良い音を出すためにしている事とか、自分が出す音に対するこだわりってあるのですか?

意識的にこういう音を出したいというのは無いんですけれど、自分が聴いていて心地よい音、それ以外は出したくない。まずは自分が納得する心地よい音をださないと、お客様にもそれは伝わると思うので。
自分が聴くときも、音が心地よい人の演奏が好きです。

________もちろん、心地よい音の方が良いですものね。
私はジュエリーをデザインしている訳ですけれど、デザイン画がすらすらと描ける日もあれば、何度描き直してもイメージ通りの線がうまく引けないなという日があるんです。
ヴァイオリンを弾いたときに出る音っていうのは、毎日けっこう変わるものなのですか?

そうですね。どうしても気分的なものはでてしまいますね。自分のことだけでなく、お友達が何か悩んでいるのを聞いた時や、どこかで大きな事件があった時とか、音は違ってしまうと思うんです。
でもお客様にとって、それは関係の無い事ですよね。演奏会の日は舞台に出たら一切言い訳はできないので。気持ちを切り替えています。

________やはり繊細な感覚を持っていらっしゃるのですね。
なにか気持ちを切り替える秘訣ってあるのでしょうか?

ドレスを着て、髪の毛をきちんとセットして、ステージの袖で待っていると客席の照明が消えて、その瞬間から自然と気持ちが切り替わるんです。

________お客様は最高の演奏を聴きたいと期待して来てくださっているんですものね。

お客様はお金を払って演奏を聴きにきて下さっている。
その特別な時間を自分の勝手な理由でダメにする訳にはいかないので。

________音楽を演奏するのには、きっと感性がとても大切なんだろうなって思うんです。素晴らしい感性があって始めて、高度な演奏技術が生きてくるのではないでしょうか。

大学生の頃先生に言われたのが、どういう音を出したいか、どういう表現をしたいか。明確なものがあればそれに必要な技術はついてくる。
だから感性の方が先かなと思います。

________ジュエリーデザインととても共通する部分がありますね。演奏技術はデザイン画を描く技術にあたると思うのですが、絵が上手かどうかは、良いデザインをする上で一番重要なことではないので。
はる子さんがヴァイオリン以外に、感性を磨くためにしている事はありますか?

演奏会という特別な空間を作るために、美術館に行ったり映画やバレエを見たり。
お金はかかりますけど、ちょっといい所でお食事をしたり。きれいな宝石を見たり。
特に食事は大事だと思うんです。優雅な時間を自分で体験するということですね。

________きれいな物を見たり、優雅な気分を感じることは私も大切にしています。美術館に行ったり、ちょっと優雅にお茶したりもしますが、私の場合は特に、美しい花とか風景を眺めることで一番感性が刺激されるんです。
はる子さんはお菓子を作ったり、お料理をしたりも良くされていますよね。それはリフレッシュのためでしょうか?

ヴァイオリンとは全く違うことをしたいなって思うんですけど、外を歩いたり美術館に行ったりすると、そこから何か色々と考えてしまうんです。
料理は他の事を考えながらだと上手く出来ないので。(笑)
ヴァイオリンとは全く別の事に集中できる時間。それに、おいしいと嬉しいし、今は両親と暮らしているので、両親に喜んでもらえるのも嬉しいです。
両親だけでなく、本当はどなたかのために作りたいんですけど。(笑)

________はる子さん、とっても器用ですよね。
この間作ってた桜の花のお菓子、すごく可愛かったです!

はる子さんがリフレッシュのために作ったお菓子。 左が桜の和菓子、右がルバーブタルト。

 

◼️ロンドンでは音楽が日常に溶け込んでいる。

________ロンドンでの10年間はどんな時間でしたか?普通では得られないような経験をされたと思うのですが。

ロンドンでは音楽が日常で、生活の中に組み込まれている。
音楽を聴きに行くのは特別な事ではないし、演奏する方も気軽に開催ができるんです。

________そこは日本とだいぶ違いますね。
日本だと演奏会に行くっていうと、特別な感じになりがちですよね。

演奏会はおしゃれして行くところ。特に男性だと1人で行くのはちょっと、って考えてしまう。

________音楽を聴くのに1人も2人もないと思うんですけれど。

そうなんですよね。
あとは、それぞれの国の文化とか行事にリスペクトがあるんです。
ロンドンは国際色豊かで、様々な国の人や、様々な宗教の人がいて、それぞれの国のお祭りや、宗教的な行事を身近に感じることができる。私自身、帰国後は桃の節句だとか日本の行事を、昔より大切にしたいっていう気持ちになったし。
そういう気持ちを目覚めさせてくれました。

それと実力主義。私のようなアジア人でも、良いと思ってもらえたら、いくらでも機会を与えてくれる。その寛容さを感じましたね。

________色々な文化や宗教を受け入れることも、実力主義も、寛容さあってのことなのですね。
ロンドンから戻っていらしたのには、何か特別なきっかけがあったのですか?

やっぱり2011年の東日本大震災が大きなきっかけでしたね。家族と離れていたので。
それと、向こうにいる間にビザの関係で日本に戻らないといけない時期があったんです。自分のミスではなかったんですけど、なかなかお役所が認めてくれなくて、解決するのが大変だったんです。その時は仕事も、教えている生徒さんも、なにもかも投げ出して突然日本に帰らなければいけなくて。もしこれがイギリス最後だったら本当にやり切れないなって思ったんです。

イギリスに10年滞在すると永住権が申請できるので、そのためにがんばって10年間いたんですけど、永住権の申請には過去のビザの問題があるから裁判になるし、最長で2年位かかるだろうって弁護士さんに言われて。
永住権が取れる可能性はあるけれど、可能性がなかった場合には、また同じような状況で何もかも投げ出して日本に帰らなければならない事になるので。

________色々と大変だっんですね。

色々あったけれど、10年を良い思い出として、きれいに日本に帰りたい。だから最後は自分で決めて帰ってきました。
最後の1年で理学修士の勉強をしたことは、イギリスでの生活をやり切ったっていう気持ちにさせてくれましたね。

________やりきったという満足感とともにイギリスを後にされたのですね。

◼️現代音楽は今を生きているから出会えた作品

________はる子さんは現代音楽にも取り組んでいらして、先日伺った演奏会でも源氏物語をテーマにした新曲を披露されてましたよね。新しい曲を弾くことは、はる子さんの中でどういう位置付けなのでしょう?

現代音楽は作曲家が同じ時代に生きているから出会えた作品。
私は大学時代から同級生の作曲家たちが作った曲を演奏しているんです。
現代音楽はちょっと普通のクラシック音楽と違うので、取っ付きにくいとか、聴きにくいっていう人も多いんですけど、私としては音楽をやる以上、一番古い基礎的な曲から、今生きている人の曲まで、全てを知らないと弾けないと思っていて。
特に新しい曲は作曲家本人から、どういう気持ちで書いたのか聞くことができる。

________そんな事、今生きてる人じゃないと出来ないですものね!

作曲家本人から聞けるのは、ある意味すごくラッキーだと思うんです。聴きにくい曲だとしても何か理由があるのかもしれないし。

________源氏物語の曲を聴いた時、本当にすごいな〜と思ったんです。ヴァイオリンってこんなにも多彩な表現ができて、すごく可能性があるものなんだって感動しました。

尺八とか琴とかをイメージして、どういう音を出したらいいのか、色々実験したりするんですけど、そういう事は後々クラシックを弾く時にも、表現の一つとして役に立つことがいっぱいあります。イヤだって最初から線を引くのではなくて、取りあえずやってみようって。
現代音楽に対して、演奏者もお客様も気持ちが動いてくれるといいなって思っています。

________現代音楽も未来のクラシック音楽ですものね。
これからも楽しみにしています。

◼️音楽には専門家も素人も関係ないんです

________私はクラシック音楽に全然詳しくないのですが。そんな人へのアドバイスはありますか?

専門家でも自分が素人だという人でも、音楽を聴いた時に感じることはみんな同じだと思うんです。
かえって何も知らない子供達のほうが素直な反応を示してくれる。
よく皆さん、音楽は素人なんですとか、良く知らないんですっておっしゃるけれど、そんなこと関係ないんですよ。

________確かにそうですね。いっぱい聴いてるからすごいって訳じゃないですものね。
音楽は子供のような素直な気持ちで聴きたいと思います。
はる子さんの演奏は心の深い所に響いてきて、ジュエリーのデザインでもとても刺激を受けさせていただきました。またぜひ演奏会に伺わせてください。

色々なお話しが聞けて、とても楽しかったです。
今日はどうもありがとうございました。

(聞き手/構成 ベーネデザイナー 本橋たかね)

                                                                 photo credit: Shigeto Imura
                                                                 hair&makeup artist: Aya Vanessa

本橋 はる子  (もとはし はるこ)

東京藝術大学音楽学部卒業、同年に渡英。
YBP国際コンクール優勝、Juneses Musicales International Competition(セルビア)にてセミファイナリスト。
2004年、50周年記念パガニーニ国際コンクールに参加。
英国においては、2005年、王立音楽院の演奏家ディプロマコース終了、
ディプロマ並びに終了演奏成績優秀によりDipRAM賞を合わせて受賞、英国国家演奏家資格を取得。
Wilfred Parry Prize、Mortimer Development Awardsを在学中に受賞。
2007年、ロンドン大学で現代音楽を専攻し、修士を取得。
2012年、王立音楽大学より理学修士を取得。
2013年、10年に渡るイギリスでの音楽活動を終え帰国。
現在はソロ/室内楽演奏活動、国内オーケストラのエキストラ出演の傍ら、音楽教室Musicoloreにてヴァイオリン教師を勤める。
2014年より熊川哲也K-Balletカンパニー専属シアターオーケストラトーキョー団員。
公式ホームページ: www.harukomotohashi.com

 

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