■パライバトルマリンはどんな宝石?
それは、まるで信号機の青の色が染みこんだような見たこともないキャンディのような塊だった。
研磨してくれと頼み、その午後に見たものは、素晴らしい輝きを放つネオンそのもの。バイヤー水村勝のパライバトルマリンより抜粋
http://shop.bene-bene.com/fs/rosecut/c/gr667
これはパライバトルマリンの名付け親でもある、弊社会長の水村が、パライバトルマリンに初めて出会ったときのこと。
従来のトルマリンとは比較にならないほどの、すばらしいネオンブルーの発色を見せるパライバトルマリン。
“世界三大希少石” と呼ばれるほど、その希少性と美しさを兼ね備えた宝石です。
1987年にブラジルのパライバ州バターリャ鉱山で発見された比較的新しい宝石です。
他の宝石には無いネオンブルーで一躍大人気となりましたが、産出が希少なのに需要が圧倒的に多いため、ますます希少価値が高まることが予想されます。
●パライバトルマリンの名前の由来は?
1988年の当初、ネオントルマリン、エレクトリックトルマリンなど様々な呼び方で、まだ名前も付いていませんでした。
世界の中でパライバトルマリンはまだメジャーになっておらず、私が主力で扱っていたのも手伝い、私と東京の大手の問屋、輸入商社から「産地であるブラジル州の名前をつけたらどうか」という意見が出ました。
そのときの唯一の鉱山はバターリャという名前だったが、発音もパライバのほうが覚えやすく、パライバトルマリンが誕生することになりました。
バイヤー水村勝のパライバトルマリンより抜粋
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●パライバトルマリンの硬さと耐久性
トルマリンと同じ硬度7-7.5です。
しかし内包物(インクルージョン)が多い宝石なので強い衝撃には注意が必要です。
●パライバトルマリンの産地は?
最初の産地はブラジルです。
ざっくりですが、ブラジル産は発色が濃いネオンブルーで、インクルージョンが入っているものが多いです。
現在はブラジルの産出は少なく、モザンビーク。ナイジェリアで産出したパライバトルマリンが市場に出ています。
こちらはインクルージョンが少なく透明感が持ち味。
ネオンブルーの色みも爽やかなものが多いです。
モザンビークでパライバトルマリンが産出した際には「太古にブラジルとモザンビークが陸続きだったため、後の大陸移動で鉱床が分かれた」という説が流れましたが、両者で産出するパライバトルマリンの性質が微妙に異なるため、後にこの説は間違いと判明しています。
■パライバトルマリンのあの希有なネオンブルーはなぜ生まれるのか?
1989年にブラジルのバターリャで見つかったパライバトルマリン。
独特なネオンブルーの色合いとテリは、内包された「酸化クロム」と「銅」によるものです。
通常、この2種類の元素同士は自己主張が強く協力して色を作ることはまずありません。
しかし地球の神秘というべきか、パライバトルマリンに限りその協力関係が成立してしまったのです。
酸化クロムが優勢な場合には青が、銅が優勢な場合には緑を強く有するパライバトルマリンになります。
いずれにしても「銅」が含まれることがこの希有な発色にとって、とても重要なことなのです。
■「ファーストマインの色を知る」ということはパライバトルマリンを選ぶうえで鍵となる。
パライバトルマリンに限らず、カラーストーンにおいては「トップクオリティを知っているか、いないか」で、その後の買い付けに違いが出ます。
ファーストマイン(開山したばかりの鉱山)は非常にクオリティの高いものが産出します。
しかし、パライバトルマリンがそうであったように、21世紀になり、良質な原石を産出する鉱山の閉山、枯渇で、かつてのトップクオリティを手にすることが難しくなってきています。だからバイヤー自身が、最高級ルースを知り、手に取り、その威力を体で覚えていることが「品質を語る」上で非常に重要だと考えています。
それを知る日本人バイヤーは非常に少ない。ベーネベーネバイヤー水村勝のsince1970より抜粋・編集
1988年に現地で当初出たばかりのパライバトルマリンから、四半世紀以上パライバトルマリンを見続ける、水村だからこその審美眼です。
■いまパライバトルマリンはどう選ぶか?
希少かというより色が好みか?ということが一番重要です。
ブラジル産は、色は比較的強く発色するが内包物は多いことが特徴です。。
内包物があるからこそ色が濃くみえる、ということもあります。
対してモザンビーク産は透明感が持ち味です。
内包物が少なく、ネオンブルーでありながらさわやかな色みのルースが多いです。
もちろん内包物に関しては、他の色石同様に少ないほどいいと思います。
しかし、本来混じりあって色を紡ぎだすことのない酸化クロムと銅が混ざることによって生まれたのがパライバトルマリン。
当然のことながら、混ざりあうときにできる内包物は多いのです。
そしてパライバトルマリンに限っては、内包物がその美しい輝きを内部から生み出す働きをしているので石の美観を損ねてしまうような内包物以外は、内包物があることを重要視する必要はありません。
産地に限らず、琴線に触れる色であったならば、石全体の印象をまず大切に選ぶとよいと思います。
ただジュエリーにすることを念頭においているならば、内包物が入っている位置に気を付けましょう。
ルースの端のほうに大きい内包物があると、石留めの際にパライバトルマリンが割れてしまう可能性があります。
必ずしも、というわけではありませんが選べる場合は意識してみてください。
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*バイヤー 水村 勝とは
1958年神奈川県生まれ。(株)ベーネユナイテッド代表取締役会長。
ICA(世界色石協会)日本代表、(社)日本ジュエリー協会常任理事、 山梨県宝石研磨工業協同組合理事長、日本青年会議所時計宝飾眼鏡部会第31代部会長を歴任。
色石からジュエリー業界まで深く精通、そのネットワークは世界中に広がる。
ジュエリー工房ベーネベーネ デザイナー本橋
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