内藤は、最近<女性性>がなんとやらと、僕にとって、難しい話をしています。
女性性のイメージストーンがムーンストーンだとか。
月は女性性を司るものだそう。
確かに、その名前だけはなくて、その美しい発色やシラーは、まさに月そのもの。
月の光を宿したようなムーンストーンは、古くから神秘的な力を秘めた石として人々に愛されてきました。
日本では「月長石(げっちょうせき)」と呼ばれ乳白色の石の表面に浮かび上がって見える青白い光が特徴的です。
鉱物学的には“フェルドスパー”(長石)(ドイツ語)グループに属します。
ムーンストーンは、長石類の中のカリウムを多く含む正長石に属しますが、曹長石も含み、
この2つが交互に重なり合って薄い層を作っています。
この層の部分で光を干渉・反射する結果、青白い光を放つのです。
ムーンストーンは乳白色のものが一般的ですが、灰色からオレンジ色まで様々です。
オレンジムーンはちょうど満月の月の色がそのまま宝石に変わったかのような雰囲気です。
ここでちょっと難しいけれど、宝石学的にムーンストーンを学んでみましょう。
ある種のラブラドーライトは外観が酷似するためムーンストーンと混同されることがある。
以下にその背景と宝石学的特徴についてご紹介しましょう。
ムーンストーンという名称はドイツのウェルナーが18世紀後半に、光沢のある長
石の一種を
ドイツ語でModesteinと呼称したことに始まる。
ジェモロジストの座右の書であるウェブスター著のGEMSによると、ムーンストーンとは
“重要な正長石の宝石で正長石と斜長石系列の一方の端成分である曹長石(アルバイト)との層状組織による光の干渉効果と散乱によって青色~白色のシィラーを示すもの”とされている。
平凡社の新版地学事典においても”月長石(ムーンストーン)は正長石とアルバイトの薄層が交互に配列する結晶を、薄層面に平行にカボション・カットすることにより美しい閃光効果が現われるもの”と定義されている。
他の文献においてもムーンストーンの定義はほぼ同様で、独立した鉱物種ではなく、
宝石名として認識されている。
1990年代中頃よりレインボー・ムーンストーンという名称で市場に登場した宝石
がある。
これは”ムーンストーン”と呼称されているが、鉱物学的には長石グループのラブラドーライトである。
したがって、上述のムーンストーンの定義には当てはまらない。
GIA発行のGemstone Reference Guideにおいてもレインボー・ムーンストーンは誤称とされている。
ムーンストーンに独特の青白い閃光は”レイリー散乱”という現象で説明されている。
光の進路上にある大きさを持つ物質(散乱中心)が存在すると、一部の光がまっすぐの進路からそれて我々の目に入ってくる。
これが散乱であるが、散乱中心の大きさが可視光の波長よりも小さいと紫色~青色の波長を強く散乱し、特にレイリー散乱と呼ばれる。
空の青色や手に持ったタバコの煙が青紫色なのはこのレイリー散乱による。
これに対して、ムーンストーンに酷似したラブラドーライトの閃光は緑やオレンジなどの色を含んでいる。
これは光の干渉によって説明されている。アルバイトとアノーサイト間の連続固溶体を形成する斜長石系列
においてもある組成範囲には不混和領域が存在する。
離溶によって形成される層状組織が波曲面状や菱形粒子状になるとムーンストーンのような光の散乱を生じ、
平面状になるとラブラドーライトのイリデッセンスである光の干渉を生じると考えられている。
作成 水村勝
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