落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!との情報。
私はTBSの落語研究会に入っていて、毎月、5本、落語を聴くのですが、これが何よりの楽しみ。
江戸の滑稽話に噴き出したり、その美しさに鳥肌が立ったり、その切なさに涙したり。
仕事の疲れなど、一気に吹っ飛んでしまうのです。
落語はひとりの演者が演じる総合芸術!
何といっても、落語の素晴らしさは、噺家が主演も助演も監督も舞台装置も、舞台環境もすべて一人でやり遂げているところなんです。
ひとりの噺家が、なん役をも演じ、同時にその話し方で、その空間が冬になったり、夕方になったり、長屋になったり、吉原になったり。
たった一人で演じる総合芸術、それが落語なんです!!
その芸術を、寄席に行けば、わずか数千円で、目の前で堪能できる!
落語の世界の住人は、今現代の、私たちの心の中のさまざまな感情と重なる!
江戸話なんて昔の噺さ~~。などと思っていたら大間違い!
江戸の町に生きていた人たち、けんかっ早い八さん、面倒見の良いご隠居さん、切なく悲しい恋をする花魁。。。
今、現代の私たちの周りに、もしかしたら、私たちの心の中に、そんな人が棲んでいる。
それが重なり合ったとき、ポンとひざを打つ感じ!
ジュエリーと落語の共通点は?とスタッフに聞かれたので、
宝石と掛けまして毛布と解きます。その心は!?
あっ たか~~い!
みたいなことよ。
などと、言っても始まらないので、大人女子がとっても楽しく落語にはまってもらえるオススメ落語をご紹介します。
(私にとって、落語の紡ぎだす世界、宝石はともに<珠玉>なのです。)
目次
落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!
仕事の疲れは落語で泣き笑い!オススメ落語1<死神>
六代目三遊亭圓生の<死神>を聴いたとき、あまりの怖さに、鳥肌が立ち、まるで、その光景を目の前にしているような臨場感に包まれ、けれど、師匠の言葉の一つ一つの美しさに心震える思いでした。
演者により<さげ>という、いわゆる<オチ>も変わり、そこも聴きどころ。
多くの噺家が演じる題目ですが、その中でも、私は<柳家小三治>が大好き。
どこかとぼけた人のよさそうな男と、凄みのある不気味な死神を、人物の声音・仕草を見事に演じわけている小三治得意の演目。
空気のように当たり前に見える<生>。
金に目がくらみ死神との約束を破る男。
代え難い自分の命が脅かされていると知って懸命に、延命をはかろうとする男の姿。
人の哀しみ、愚かさ、深いテーマが噺の奥に流れている。
(落語一日一席)
落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!
仕事の疲れは落語で泣き笑い!オススメ落語2<紺屋高尾>
本当に素敵なラブストーリー。純愛って、やっぱり素敵じゃない!
この噺は、花魁の最高位である高尾太夫と、一介の紺屋の職人との純愛をテーマに据えた名品。
モデルとなったのは、五代目の高尾-通称『紺屋高尾』。
馬鹿正直な江戸の男が、わき目もふらずに働いて、年季の明ける日を、その実直な男を信じて待つことで過ごしていく太夫の、そのお互いの心の中の様子には触れられないものの、その時間の流れをたっぷりと感じさせる演者の舞台にノックアウト。
さまざまな噺家の中で、ぜひ、聴いていただきたいのが立川談志の紺屋高尾。
毒舌の談志が演じる究極の江戸ロマンティック、ラブロマンスにほろりと涙がこぼれます。
落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!
仕事の疲れは落語で泣き笑い!オススメ落語3<井戸の茶碗>
<井戸の茶碗>は、本当に心がほっこりと温かくなって、やっぱり、世の中、いい人ばっかり!いい人って、いい人を呼び寄せるし、集まるんだ!と、とっても嬉しくなっちゃいます。
正直って、本当にいいよね。純粋さって、本当に素敵よね!
あれやこれやと面倒くさいことが多い日常で、私にとって<井戸の茶碗>は心の友!
この井戸の茶碗を、ミュージカル仕立てで演じた<柳家喬太郎>の<歌う井戸の茶碗>は、もう爆笑で、お腹がよじれます。
この作品、ぜひ、聴いていただきたいのが柳家さん喬。
正直者の屑屋清兵衛の正直で純粋な様子、浪人千代田卜斎の、落ちぶれても武士という静かな気品とプライド。
さん喬師匠の、なんとも品の良い、凛とした声色、その眼に宿る色気にノックアウトなのです。
落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!
仕事の疲れは落語で泣き笑い!オススメ落語4<牡丹灯籠>
四谷怪談、皿屋敷と並び、日本三大怪談と言われる<牡丹灯籠>。私が、怪談ものの中で、この牡丹灯籠をおすすめする理由は、四谷怪談、皿屋敷は、深い怨恨を遺して死んだ亡霊を主人公なのに対し、亡霊と人間との恋愛を描く、なんとも切なく美しい物語だからなのです。
「カランコロン」という下駄の音とともに、縮緬細工の牡丹芍薬の絵柄の入った灯篭を持ち、通ってくるお露の幽霊。
その描写の、なんとも美しいこと。
次にご紹介する<鬼背参り>も共通点があります。
すさまじいほどのラブストーリー。やっぱり楽しい!
落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!
仕事の疲れは落語で泣き笑い!オススメ落語5<鬼背参り>
<鬼背参り>は、作家 夢枕獏が柳家喬太郎に書き下ろした作品。
夢枕獏原作のすごみと気迫に満ちた美しさ。ジャンルとしては怪談なのだけれど、これはまさには恋愛譚。
その情景の美しさ、菊の香りまで立ち込める空気感。
切なく美しく、そのすごみに涙がほろりと落ちる。
落語は、まさに一人の演者が、何役をも演じ分け、夜が深まる様子など、演出、舞台装置まで、全部ひとりでやってのける芸術。
鬼背参りの菊がむせるほどに香るその様子には、鼻孔の奥にまで菊の香りが満ち、なんとも切なく美しい。
落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!
仕事の疲れは落語で泣き笑い!オススメ落語6<御神酒徳利>
勧善懲悪、成功物語は、何はともあれ、心がすっと晴れます。
軽妙なウイットの効いた落語の<さげ>と言われる<オチ>は、ダジャレみたいなところが軽妙、知的で愉快。
危機を乗り越えるときのアイディアはすごく突飛なのに、それがするするっと通ってしまう愉快さ。
こんなことあるはずないのに、なぜか、江戸の町ではありそう。まさに言葉の紡ぎだすワンダーランド!
ドジで間抜けで嘘つきな江戸っ子は、内側に<人情>漲りあふれてる感じがとっても好き。
江戸時代って、すごく単純ですごく純粋だったのね。
複雑につべこべ考えることってどうなの?と、勝手に自分の感情で煩わしいことを増やしている自分に飴を上げたい気持ちになります。
落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!
仕事の疲れは落語で泣き笑い!オススメ落語7<芝浜>
なんだかほろりとくるのです。
仕事が立て込んで、ばたばたとあわただしい時間ばかりが続きて、宝くじ売り場を通り過ぎるたびに、
<ここで1億円当たったら仕事辞めて海外でゆっくり骨休めしたい>なんて考えて。
でも、宝くじを買える時間にはチャンスセンターは閉店しているし、朝は出勤時間ぎりぎりだから、宝くじ買う時間もなく会社に滑り込み。
そんな毎日だけれど、この<芝浜>聴くと、やっぱりまじめにコツコツ働こう、なんて思えるの。
年末ジャンボが売り出される時期。
今年も西銀座チャンスセンターの横を駆け抜けて会社に向かい、駆け抜けて帰宅。
なんか、こういうの悪くないな~。
落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!
仕事の疲れは落語で泣き笑い!オススメ落語8<紙入れ>
何かマンガみたいな演目の紙入れ。それにしても間抜けな旦那。したたかな女房。あほな間男。
こんなことは現代では考えられないと思うのだけれど、昔のお祭り後の夜這いの話など読んだりすると、もしかしたら、今でもこんなことはあるのかも。
などと、頭の中が週刊誌的な感じになってしまう。
こういった話は、たいがいはドロドロしたものになるはずなのに、この噺はそんなドロドロ感や陰湿さが全くなくって、あらっ、うまくやっちゃったんじゃない、なんて痛快な気持ちになる。
多くの噺家が演じるけれど、やっぱり柳家喬太郎が好きだな。
アホ感、したたか感、鈍感な感じがあっぱれですから。
落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!
仕事の疲れは落語で泣き笑い!オススメ落語9<たちきり>
切ない、なんていう日本語を最近使わなくなってきましたが、この噺は<切ない>という繊細な感情が、私の心のどこかに隠れていたんだとしみじみと感じます。
色街という世界の中で、きっときっといくつもの、こんな切ない感情を持った花魁と旦那の話があったのではと思うのです。
切ない:悲しさや恋しさで、胸がしめつけられるようである。やりきれない。やるせない。
作家 芥川龍之介の作品「忠義」の中で、・・・しまいには、畳の縁の交叉した角や、天井の四隅までが、丁度刃物を見つめている時のような切ない神経の緊張を、感じさせるようになった。
そんな表現があったけれど、そこはかとなく凛とした美しさを感じます。
古今亭菊之丞は、女性的な美しい魅力を持っていて、この演目は、菊之丞でぜひ、聴いてほしいな。
落語にハマる落語女子<らくこ>急増中!
仕事の疲れは落語で泣き笑い!オススメ落語10<お菊の皿>
落語でも歌舞伎でも映画でも、<番町皿屋敷>はおどろおどろ美しい。
美し容姿から、ぞくっと空恐ろしい形相に変わり、怨念を纏うお菊の姿、ドロドロドロという音までが聞こえてきそう。
そんな番町皿屋敷が一気にワンダーランドに!
奇想天外、破天荒な面白さ。
しっぽり美しい落語も良いけれど、こんなへんてこな愉快さは落語ならでは!
ここは、おどろおどろしいお菊を派手なパフォーマーに代えてしまった柳家喬太郎で聴いてください。
声色を変えずに、ただ、その言葉使い、間合い、仕草だけで1枚の座布団の上から放たれるパノラマ。
まるで、その場面を俯瞰しているかのようなディテールに、その事実をその場で垣間見ているような臨場感。
言葉の威力を思い知る。
やっぱり落語、大好き!
Facebookコメントはこちら